習慣少年ダイアリー

マンガのこと7~8割 自身のこと2~3割

星明かりグラフィクス について

好きなマンガをオススメしていきます。
7作目はこちら、

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[星明かりグラフィクス]です。

芸大に通う2年生女子の二人に焦点を当てたマンガ。
才能は無いがコミュ力に全振りで「芸大は本当に才能ある人間とのコネを探す所」と豪語する園部明里と、才能はピカイチだがコミュ力0の潔癖で変人である吉持星とのデザイナーになる為コンビを組む二人の青春。
作者の山本和音さんはこの作品が初コミックスだそうです。すごい才能。

実はこの作品、3巻で完結という短さ。「もっと読みたかった」というのが本音ですが、決して打ち切られて終わったわけではないと思います。それほどまでにドラマチックな終わり方をする作品なので。
話の短さは、二人の出会った芸大で流れる青春の短さを表してるのではないでしょうか。

この作品の何がすごいか。最初は吉持のとてつもない才能・変人ぷり、才能を持った他の人物との出会いによって悔しがる吉持が中心に描かれ、明里はそれを補佐する司令官のような動き方をします。
しかし物語が進み、吉持が自分に無いものを得ようと悪戦苦闘しながらも“二人の為に”努力し吸収し成長する様を見て、


明里は焦ります。


果たして私はこの才能の塊に置いていかれないだろうか

吉持に離れられたら私には何が残るのか

才能の無い私に

そして、吉持の為だという建前で吉持の周りの人間を引き剥がそうと画策します。

この作品は、“才能と人脈”をキーワードにずっと描かれ続けます。
才能の為のワガママ
人脈の為のエゴ

二人はコンビ以上の友達に、唯一無二の存在に“なってしまいます”。
そうなってしまったら“利益の為に割り切る仕事上のパートナー”には戻れません。
青春の綺麗な部分だけじゃない、打算も焦燥も諦め
もモブも見放しも憎しみもドロッドロの部分も詰め込んだ短い青春をぜひとも読んでみて下さい。

[星明かりグラフィクス]は刺さる表現だけでなくセリフ回しも面白く、きっと気に入ってもらえると思います。

サイケまたしても について

好きなマンガをオススメしていきます。
6作目はこちら、

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[サイケまたしても]です。先日全15巻の連載を完結なされた所ですね。

作者・福地翼先生といえば、[うえきの法則]や[アナグルモール]でも顕著である、“およそ戦いに向いてなさそうな能力での異能力バトル”が特徴的な方です。

あらすじは、
主人公・葛代斎下(サイケ)は幼なじみの交通事故死をきっかけに、自分に“一日をやり直す”特殊能力がある事に気付く。サイケは後に“オラクル”と呼ばれるその特殊能力を使い人々の役に立つヒーロー活動を密かに繰り返す。
しかし、能力を持つ“オラクルホルダー”達との出会いにより、戦いの日々、そして能力者達を取り巻く大きな運命に巻き込まれていくーー
と言った感じです。

サイケは“一日をやり直す”能力を得てから様々な人を助ける為にその日を逆行し、不幸な出来事を何百回と未然に防いでいきます。
しかし、その能力を発動する為には条件があります。
それは、特定の池で『溺れ死ぬ』事です。

自らの命を投げ打ち他人の為に尽くすサイケ。狂気とも言える使命感に彼は突き動かされ、溺れ死ぬ為に身を投げます。
その使命感の根底には、“何者にもなれていない自分”への恐怖が常にあり、能力を失いヒーローじゃなくなる事を何よりも恐れています。
そんな彼の弱さ怖さ、実際人を救っている結果や人望に惹かれ仲間も増えていきます。

タイムリープもの”“異能力もの”に必ずつきものな難題があると僕は考えています。
それは、
『過去を変える事は果たして幸せなのか?』
そして、
『能力者と非能力者は共存出来るのか?』
この必ずつきものであるテーマに対し、[サイケまたしても]は真摯に向き合い作品内で明確に答えを出します。それは数ある意見のうちの一つの答えですが、僕はこの作者さんが真剣にその問いに向き合い続けたから出た答えなんだなと感じました。

また、冒頭紹介したように福地翼先生の作風は“バトルに向いてなさそうな能力でのバトル”が味となっています。
一日をやり直す能力者であるサイケは身体能力も並以下ですが、何度も“コンティニュー”する事で相手の動きを先読みし、トライアル&エラーを繰り返し策を練り強大な能力者達に向かっていきます。
“相手の心を読む”のとはまた違う、他のマンガには無い独特なバトルだと思います。

また他の能力者ですが、
ガムテープを好きな所につけれる能力
物体を発泡スチロールにする能力
プロペラをつける能力

など、大爆発ドーンみたいな強すぎる能力が出てこず“異能力もの”の隙間を縫ったような能力者達がたくさん出てきます。凄くない能力で熱いバトルを描けるのが凄い。
過去作[うえきの法則]では『"手拭い"を"鉄"に変える能力』を持ったキャラがめっちゃ強かったりします。
[うえきの法則]も大好きな作品なのでまた違う記事で紹介します。

可愛らしい絵柄で描かれる、答えの無い問題に向き合い続けたタイムリープ能力バトル。
ぜひ読んでみて下さい。

月曜日の友達 について

好きなマンガをどんどんオススメしていきます。
5作目はこちら、

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[月曜日の友達]です。
このマンガがすごい!2018】のオトコ編第4位にも選ばれたこのマンガ。
ちなみに作者・阿部共実さんの著書[ちーちゃんはちょっと足りない]は【このマンガがすごい!2015】のオンナ編第1位に選ばれてます。[ちーちゃん]についてはまた別記事で。

学校に所属してる事、大人になる事に違和感と不自由を感じる中学生の女の子・水谷と、無口で不思議な同級生の男の子・月野が出会うガールミーツボーイな物語。

「毎週月曜日に俺の超能力の訓練を手伝ってくれ。約束だよ。」
夜の校庭に忍び込んで超能力の訓練をしている月野を見つけ、話しかけてしまったが故に、水谷は灰色だった世界に唯一の色がつく景色を見つけます。

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阿部共実先生の作品に共通する魅力の一つが、詩的な文表現です。羅列される情報、無機質な語群が寂しげな世界でのモノローグに情緒を産み出しています。

灰色の校舎でのモノローグなど、「周りにどれだけ人がいても、私のこの感覚を理解出来る人は一人もいないのだろう」という気持ちの表現が上手い作家さんです。

また、作画に関しても光や水面を描くのがとても上手い方で、夜の校舎と音の無い水谷の世界に射す月野の煌めきを丁寧に描き込んでいます。

嫌いだった月曜日が、たった一つの約束で待ち遠しくなる。
これは恋愛の話でもなく、友情と呼ぶにも短い話かもしれません。
これから先二人は大人になり、仕事を得て、結婚もし、家庭を築き、別々の道を別々の地で歩んでいきます。
この月曜日の思い出も記憶と共に薄れていくのでしょう。どれだけ忘れないと誓っても、忘れたくないと想っても。

「月野だけは大人にならないでくれ」

ようやく見つけたのに"子供"である私を置き去りにしないでくれ。この永遠から抜け出さないでくれ。水谷の悲痛にこぼれ落ちた言葉は、十代の同じ気持ちを持つ子供達、そして大人にならざるを得なかった人達に刺さると思います。

[月曜日の友達]は、誰かの宝物になるような、オルゴールにでも大切に閉じ込めておきたい物語です。

そして、amazarashiというバンドが歌う[月曜日]という曲は、このマンガを読んだボーカルの秋田ひろむさんがこのマンガの為だけに書きあげた、水谷と月野の世界を閉じ込めた楽曲になっております。
ぜひ[月曜日]も聴きながら、[月曜日の友達]を読んでみて下さい。

くにはちぶ について

完結したものだけじゃなく、連載中の気になってるマンガも書いていきます。
4作目はこちら、

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[くにはちぶ]です。

村八分(制裁を加える為特定の人物の交際を共同で絶縁する)という言葉がありますが、このマンガはそれが法律として施行されます。

明るく友達も多い中学2年生の少女・道端たんぽぽ は、ある日突然、近年出来た法律"無作為選出対象者無視法"通称・国八分法の対象者になります。
それは対象者を1年間、日本国民全員が無視するという法律です。
何故こんな法律が施行されたのか?それは、いじめがはびこる世の中で、いじめ被害者の気持ちを誰もが平等に味わうことでいじめによる自殺をなくす為なのです。
いわば、たった一人を使った日本国民全員の命の授業。

クラスメイト達も道端たんぽぽが対象者に選ばれた瞬間、ある種冗談のような空気を呑み込めずに笑ってしまいます。「法律?無視?今まで友達だったのに?w
」しかし、
これはいじめじゃない、法律なのです。
対象者に話しかけたりした違反者は未成年であろうと逮捕されます。この法律が施行されるのは“対象者以外”の全ての国民なのです。

クラスメイトが逮捕されていく事実に、ようやく周りも友情より法律を守るようになります。
そして家族ですらも。
母親が夕食を作ってあげても違反です。監視員の目と、どこから見てるかわからない監視カメラが見逃しません。

それでも我が子を守りたい母親と、1年後対象者から外れた我が子の帰る場所を守って待っていてあげたい父親、どちらも我が子を想う気持ちは同じなのに家庭もどんどん憔悴していきます。

このマンガの恐ろしい所は、僕はこの法律を有り得ると思ってしまいました。
僕は政治について詳しくありませんが、大人の薄っぺらくても正当な筋が通ってしまえば、住む国民はその主張が歪んでいても従うしかないのです。

もちろん対象者が犯罪を犯す事は普通にダメです。なので無視されるからといって強盗無双などは出来ません。
逃れる方法は対象者から外れるまでの期間海外に行くくらいですが、中学生が、誰の助けも借りれず、一人で?実行出来ると思えないし、何よりこの状況でそこまでして生きたいと思えるか。

ドロッとした絵柄で描かれる、新法律サスペンスの中でも秀逸なこの作品。ぜひとも皆さんも読んでみて下さい。

ぼくらの について

好きなマンガをどんどん薦めます。
3作目はこちら、

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[ぼくらの]です。
[なるたる]など鬱マンガに定評のある鬼頭莫宏先生の作品です。ぼくらの も全く救いの無い話になっています。
個人的にはバッドエンドや救いの無い話の方が“ストーリーがしっかりしてる”と感じるので好きです。

以下、ネタバレも入ります。

どんな話か簡単に説明しますと、
15人の少年少女が地球を守る為に巨大ロボットに乗って敵ロボットと戦う話です。

胸躍るでしょう?
15人の少年少女達も初めはそう思っていました。

ところが、その巨大ロボットは“操縦者の命”を糧に動く事がわかります。それに気付くのは戦いを終え、犠牲者が出てからでした。

当然そんなロボット誰も操縦したくありません。皆、小学生ですから地球よりもまずは自分の命が大事です。敵ロボットなど自衛隊に任せればいい。
しかし、“敵ロボット”との戦いを放棄すると地球が滅びます。
というよりこの宇宙ごと消滅するのです。

何故ならこの戦いは“パラレルワールドとして増えすぎた宇宙を、盆栽の枝を選定するかの如く淘汰する”為の戦いであり、負けたロボットがいる地球は所属する宇宙ごと消滅するのです。

そう、主人公達が戦ってる敵ロボットも、“違う地球に住んでいる自分達と何ら変わらない人間”が操縦してるロボットだったのです。
命を懸けているのも、自分達の地球を守る為に戦っているのも何ら変わらない。

戦えば死 勝っても死
負ければ地球と一緒に死

大切な人を守る為、死をもって少年少女達は戦います。

ぼくらのの見所は、これらの絶望が明かされていく所もそうですが、“死を覚悟してまで何の為に戦うか”の葛藤や人間ドラマが主だと思います。
地球を守る為の戦いだということがわかり、操縦者の家族や友人、自衛隊の人々、そして戦いに巻き込まれた被災者、様々な人がいる星の命の輝きを彼らと同じ視点で見守ってみて下さい。

アクマゲーム について

好きなマンガをどんどんオススメしていきます。
2作目はこちら、

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[アクマゲーム]です。

タイトルから「もしかして、一時期大量に流行ったデスゲームもの?」と思われる方もおられるかもしれません。

全く違います。

個人的にはタイトルで損してるマンガの一つだと思ってます。○○ゲームというタイトルのマンガはめちゃめちゃあるので。

内容を簡単に説明すると、“各地から選ばれた天才達が、悪魔が取り仕切る頭脳ゲームで競い合う”というものです。

まず、作品内に出てくるゲームが全て奥が深く面白い。
相手の問いが真実か虚偽かを見抜く『真偽心眼』。
チームメイトが粘土で作ったものを当てる(しかし、その作成過程で相手チームからの妨害を受けている)『粘土問答』。
5つのマークのうちいずれかが描かれたカードのマークを当て合う『五印一当』ではお互いにカードに目印をつけたりカードを塗りつぶしたりイカサマ合戦になる。
さらにアクマゲーム一番最後のゲームである『三単究明』は、“相手が脳内に浮かべた3つの単語を交互に質問し合い、より早く解明した方が勝ち”というまさに最高峰と言える頭脳ゲームが描かれる。

「ふーん、確かに面白そう」くらいには思ってもらえただろうか?
アクマゲームならではの魅力をさらにお伝えしよう。

悪魔が取り仕切るゲームのプレイヤーは、各々一人一つずつ、“悪魔の能力”が与えられる。
つまり、[アクマゲーム]がどんなマンガか問われると、『異能力頭脳ゲームサスペンス』マンガなのだ。
欲張りすぎじゃないか?ごちゃごちゃして逆に読みにくいのではないか?そんな事は全く無い。

“悪魔の能力”とはいえゲームバランスを大幅に崩すようなものは使えない。
“相手の発言を制限”したり、“触れた物にアラーム機能”をつけたり、“触れた物を固定”したり、むしろひどく使い勝手が悪い能力を天才プレイヤー達はここぞという所で発動し、自身を有利にしていく。

さらに各地から集められた天才プレイヤー達は、各々が心理学者であったり天才役者であったりアスリートであったり、固有スキルをも頭脳戦に活かして戦う。

全22巻、どっぷりはまれる面白さを持った作品である。きっと、「やってみたい」と思えるゲームが見つかるはずだ。

ジョジョの奇妙な冒険について

このブログでは好きなマンガの事についてどんどん語っていこうと思います。
最初の作品はこちら、

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我々はこのマンガを知っているッ!
[ジョジョの奇妙な冒険]です。
今や国民的人気作品と言っても過言ではない。1986年に連載開始、30年以上経った今でも部を変え連載は続いていて、最近大阪文化会館にて荒木飛呂彦原画展"ジョジョ展"が行われた事は記憶に新しい。アニメも1部から現在5部まで順調に放映されている。(実写映画もありましたね)(アニメ映画も)
僕は[ジョジョ]がとても好きで、好きなマンガランキングを問われたら、ジョジョは1位を超え殿堂入りだと答えている。

ジョジョのどこが好きなのか、魅力的なキャラ・引き込まれるストーリー・擬音やポーズの奇妙さ・スタンド能力どれもディ・モールト(非常に)良い。
が、他人に「ジョジョが他の作品と違う所は?」と聞かれると僕はこう答えるようにしている。

ドラゴンボールONE PIECEがいくら好きな人でも毎日ドラゴンボールONE PIECEの話はしないけど、ジョジョが好きな人は本当に毎日ジョジョの話が出来る」

つまり総じて、"連載開始から30年以上経っても語り尽くせない魅力"だ。
ドラゴンボールは圧倒的なキャラクター、凄まじいバトルシーンなどがとても魅力的な誰もが認める大人気作品だが、構成されるストーリーや要素自体はシンプルであり、ファン同士の会話の中での“新しい発見”自体は少ない。
またONE PIECEも伏線や謎を紐解いていく楽しさがあるが、作品内や作者自らも回答を巻内で公開している。つまり、『待てば必ず答えはわかる』のだ。それが続きが気になる楽しみになっているのだが。
対してジョジョは全国のジョジョラー(ジョジョのファン)同士の会話やSNSのタイムライン、またアニメ制作スタッフの解釈・演出などにより新しい発見が尽きない。驚くべきはこれが現在進行形で連載中の8部ではなく、1部から今までに至る話全てにまだまだ考察の余地がたっぷりと残っている事だ。たっぷり!

上記の魅力はどっぷりはまったジョジョ好きが薦める要素である。
ジョジョを敬遠する理由で最も多いのが、「絵柄が苦手だ」というもの。ヒジョーにわかる。
だから今こそ、アニメでポップになった絵柄から入って、アニメが面白かったなら、ぜひとも原作を読んで欲しい。

ジョジョについてはまだまだ話したいことがいっぱいあるので、また書くと思います。