習慣少年ダイアリー

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サイケまたしても について

好きなマンガをオススメしていきます。
6作目はこちら、

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[サイケまたしても]です。先日全15巻の連載を完結なされた所ですね。

作者・福地翼先生といえば、[うえきの法則]や[アナグルモール]でも顕著である、“およそ戦いに向いてなさそうな能力での異能力バトル”が特徴的な方です。

あらすじは、
主人公・葛代斎下(サイケ)は幼なじみの交通事故死をきっかけに、自分に“一日をやり直す”特殊能力がある事に気付く。サイケは後に“オラクル”と呼ばれるその特殊能力を使い人々の役に立つヒーロー活動を密かに繰り返す。
しかし、能力を持つ“オラクルホルダー”達との出会いにより、戦いの日々、そして能力者達を取り巻く大きな運命に巻き込まれていくーー
と言った感じです。

サイケは“一日をやり直す”能力を得てから様々な人を助ける為にその日を逆行し、不幸な出来事を何百回と未然に防いでいきます。
しかし、その能力を発動する為には条件があります。
それは、特定の池で『溺れ死ぬ』事です。

自らの命を投げ打ち他人の為に尽くすサイケ。狂気とも言える使命感に彼は突き動かされ、溺れ死ぬ為に身を投げます。
その使命感の根底には、“何者にもなれていない自分”への恐怖が常にあり、能力を失いヒーローじゃなくなる事を何よりも恐れています。
そんな彼の弱さ怖さ、実際人を救っている結果や人望に惹かれ仲間も増えていきます。

タイムリープもの”“異能力もの”に必ずつきものな難題があると僕は考えています。
それは、
『過去を変える事は果たして幸せなのか?』
そして、
『能力者と非能力者は共存出来るのか?』
この必ずつきものであるテーマに対し、[サイケまたしても]は真摯に向き合い作品内で明確に答えを出します。それは数ある意見のうちの一つの答えですが、僕はこの作者さんが真剣にその問いに向き合い続けたから出た答えなんだなと感じました。

また、冒頭紹介したように福地翼先生の作風は“バトルに向いてなさそうな能力でのバトル”が味となっています。
一日をやり直す能力者であるサイケは身体能力も並以下ですが、何度も“コンティニュー”する事で相手の動きを先読みし、トライアル&エラーを繰り返し策を練り強大な能力者達に向かっていきます。
“相手の心を読む”のとはまた違う、他のマンガには無い独特なバトルだと思います。

また他の能力者ですが、
ガムテープを好きな所につけれる能力
物体を発泡スチロールにする能力
プロペラをつける能力

など、大爆発ドーンみたいな強すぎる能力が出てこず“異能力もの”の隙間を縫ったような能力者達がたくさん出てきます。凄くない能力で熱いバトルを描けるのが凄い。
過去作[うえきの法則]では『"手拭い"を"鉄"に変える能力』を持ったキャラがめっちゃ強かったりします。
[うえきの法則]も大好きな作品なのでまた違う記事で紹介します。

可愛らしい絵柄で描かれる、答えの無い問題に向き合い続けたタイムリープ能力バトル。
ぜひ読んでみて下さい。