習慣少年ダイアリー

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空が灰色だから について

好きなマンガを紹介するブログです。
19作目はこちら、

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[空が灰色だから]です。

以前このブログで紹介した[月曜日の友達]の作者・阿部共実さんの作品です。
ちなみに初期タイトルは[空が灰色だから手をはなそう]だったそうです。

毎話“どこかにいる誰か”が主人公のオムニバスなのですが、この作品が異色なのは、バッドエンドな物語が多数収録されている事です。
ずっと仲良くなりたいと思ってた人を泣かせてしまう話、
ずっと応援してた人に勘違いされ嫌われる話、
憧れを抱いていた近所のお兄ちゃんが自分のせいで変わってしまった話。

どの単行本の裏表紙にも必ず書かれている「10代女子を中心に、人々のうまくいかない日常を描くオムニバス・ショート。コメディか、ホラーか、背徳か、純真か、説明不要の"心がざわつく"思春期コミック。」
という説明文。
「心がざわつく」という文言の通り、読み終わった後に何とも言えない気持ちになれます。
目の前で人が倒れているのを見てしまったかのような、クラスメイトがいじめられているのを目撃してしまったかのような、安全な日常の胸の奥に腕を突っ込まれ掻き回されてしまったような気分の悪さが残ります。

そして、その気分の悪さを常日頃から抱いている、幸せではない満たされていない友達がいない恋人がいない親とも上手くいってない存在価値を見出だせない自分が何故此処にいるのかわからない産まれてきて申し訳ないと思っている貴方の為にこのマンガは描かれています。

このマンガに惹かれるのは、この世界に住むキャラクター達と“日常の生き辛さ”を共有出来るからではないかと僕は思います。
どこかにいる誰かは、
普通にしているだけで異常に見られ
友達といても孤独を感じ
努力が理不尽で潰され

幸せになりたいのに不幸でいる。







[空が灰色だから]には何もバッドエンドだけが掲載されているわけではありません。
中には友達との楽しいエピソード、健気な母親のエピソード、上手くいかない日常の細やかな、本当に細やかな灯火のような物語も収録されています。

生き辛さを感じている全ての人が、空が灰色だとしても、手を取りたい人物が、人生がきっと見つかると思います。
ぜひ読んでみて下さい。