習慣少年ダイアリー

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スーサイドガールについて

先日のとあるニュースを見て、今紹介したいマンガがあるので紹介します。[スーサイドガール]というマンガです。

このマンガは自殺大国と呼ばれる我が国・日本が舞台である。
2019年、日本での年間自殺者は1万9959人。10年間減少し続けてこの数字である。ただの数字ではない、1万9959人も自ら死を選んだ重すぎる絶望だ。
ハインリッヒの法則に当てはめると、1件の自殺には29件の自殺未遂があり、300件の「死にたい」が存在したことになる。

[スーサイドガール]は、[トラウマイスタ]や[ねじまきカギュー]の作者・中山敦支先生がこの現状を憂い、一瞬でも誰かの苦しみを救えたらと描き始めた作品だ。
主人公である女子高生・青木ヶ原星は、16歳の誕生日に自らの命を断つことを望みに生きてきた。自殺志願者が集まるサイトで、死ねなかった事により“自らが死ぬ為に他人の自殺を止めなければいけなく”なる。
夢で見た少女の自殺を止める為その少女と出会い、自分が死ぬ為に「自殺ダメ!ゼッタイ!」と自殺志願者の少女を追いかけ回す姿は、ある種コメディのようにも描かれている。滑稽な星の姿に、出会った少女は考えを改めるも、その直後駅で線路に飛び降りてしまう。


緊張と緩和、緩和からの緊張、[スーサイドガール]ではまるで闇と光のように少女マンガのようなキラキラと絶望が交互に描かれる。
自殺した者にも光や大切な人や楽しみはあったのだろう。しかしそれ以上に絶望が上回ってしまった。


[スーサイドガール]では、その絶望を後押しする者として、“人々を自殺させる悪魔”フォビアが描かれる。
「自殺や自殺者が悪ではない。フォビアが悪なのだ」と。星はフォビアと戦う“スーサイドガール”になり、人々を助けていく。


自殺問題と向き合う事は難しい。自殺者を助けることの難しさ、助けられなかった時の取り返しのつかない絶望、自らも心の闇に蝕まれないようにしなければならず、そしてその人と何処までいつまで付き合い続けれるのか。
“スーサイドレスアップ”“ダンマツマジカル”などのパワーワードと勢いある画面で希望を描く。
この作品はフィクションであり、登場するフォビアや登場するスーサイドガール達もフィクションの存在かもしれない。
しかし、自殺者が報道される度にどこかでつぶやかれる「誰かに助けてもらえば良かったのに」の“誰か”は、ここで今も“必死に”戦っている。そんな願いが詰まっている作品です。