ベイビー・ワールドエンド について
好きなマンガをオススメするブログです。
10作目はこちら、
[ベイビー・ワールドエンド]です。
恋する女の子・ゆー子ちゃんの友達はいつも飼い犬のポチだけでした。ゆー子ちゃんはポチが大好きで、ポチもゆー子ちゃんが“大好き”でした。
「僕が人間だったなら」ポチはいつも想っていました。
星が満天の夏祭りの日、ゆー子ちゃんは好きな男の子に誘われ、恋心を弾ませながら楽しみますが、その男の子は悪い先輩との付き合いがありゆー子ちゃんは騙されて乱暴されそうになります。
ポチはゆー子ちゃんを守る為果敢に戦いますが、負けて瀕死の状態になってしまいます。
好きな男の子に騙され、ポチが酷い姿になり、ゆー子ちゃんは綺麗な星空に願います。
ゆー子ちゃんから無数の雷が世界に落とされ、その日世界は終わりました。
崩れゆく世界を見ながら、再度ポチは願います。
この物語は、世界を終わらせた“星の女王”ゆー子ちゃんと、人間になったポチの終末に奏でられるラブソング。
荒廃した街と星空を舞台にしたどこか綺麗な砕けた世界でギターを背負い歩くポチはとても健気だ。
この作品のテーマソングとして、終始歌われるTHE BLUE HEARTSの『リンダリンダ』を知っているとより楽しめるでしょう。
一人の女の子に捧げられる純粋で真っ直ぐなラブソング。
ちなみにこのマンガで“世界の終わり”を描く堀内厚徳先生は、後にバンドの 『SEKAI NO OWARI』もマンガにしてます。
ぜひともお読み下さい。
めだかボックス について
お久しぶりです。好きなマンガを紹介するブログです。
9作目はこちら、
[めだかボックス]です。
このマンガは僕の好きなマンガランキングベスト10に一生入り続ける、何度読み返しても面白いマンガです。
[化物語]の西尾維新先生原作のこのマンガ、西尾維新の真骨頂その①『戯言使い』とでも言うべき、西尾イズムな台詞回しがふんだんに詰め込まれたとても濃い作品となっております。
作画の暁月あきら先生の千差百万別な個性的なキャラクターの描き分けもとても見事です。
普通(ノーマル)、特別(スペシャル)、異常(アブノーマル)、過負荷(マイナス)といった、奇人変人秀才天才がはびこる箱庭学園で生徒会長を努める・黒神めだか。
フルマラソンを2時間フラットで走り、関数計算を暗算でする彼女は「見知らぬ他人の役に立つ為生まれてきた」と豪語し、今日も絢爛業火に燃え盛る。
どんなマンガか?学園青春ラブコメ厨二言語バトルマンガといえばいいでしょうか。他のどのマンガにも、似てるマンガがないんですよね。
生徒会長の黒神めだかが学園の悩みを解決していく毎に、異常な生徒達や異様なしがらみとの戦いに巻き込まれていく--
そんなマンガです。最初は違う感じで始まって、途中からバトルマンガになるパターンはジャンプでよくある感じですよね。
このマンガはそのよくあるを“あえて”やったんじゃないか、というほどメタ要素がたくさん出てきます。
とあるキャラクターが「アニメが始まる前にこの漫画を終わらせてやる」と作中で言ってしまうほど。
それが気持ち良いほどハマるんですよ。
さらに、原作者である西尾維新先生が「このマンガは上手いこと言った側が勝ちます」とインタビューで話すように、巧みに企み、妖しげに綾なすセリフの数々は日本語や言葉が好きな人を虜にするでしょう。
そんな箱庭学園のキャラクター達もとても魅力的です。
彼は球磨川 禊(くまがわ みそぎ)。過負荷(マイナス)と呼ばれるグループに所属する、全人類に負けている男です。
悪影響しか与えず、他人の足を引っ張り、悪を悪びれず行い、「僕は悪くない」とのたまう男。
悪のカリスマと呼ばれるキャラクターは様々なマンガに登場しますが、彼も根強い人気を誇ります。
さらにこちらは、安心院さん、
さきほどの「アニメが始まる前にこのマンガを終わらせてやる」宣言の方です。
パワーインフレが行き過ぎて、地球史前から生きすぎて1京のスキルを持っています。
戦闘力530000どころの騒ぎじゃないですね。
カルピスの原液どころかウォッカのボトルほど濃いキャラクター達が暴れ回るこのマンガ、
そうです、最大の魅力はやはり
キャラクター(人となり)だと思うのです。
100人以上の濃いキャラクターが出るこのマンガで、内面がないがしろにされてる人物は一人もいません。
それぞれの思想、理想、感情、勘定がちゃんと描かれています。
好きなキャラクターが必ず見つかると断言出来るマンガです。
ぜひとも読んでみて下さい。
失踪宣言 について
好きなマンガをどんどんオススメしていきます。
8作目はこちら、
[失踪宣言]です。
作者の黒川依さんはネット上で発表していた作品、[ひとり暮らしのOLを描きました]でも話題を集めた方です。
24歳OLの坂本あゆみは生真面目だが友人も恋人もおらず、毎日仕事をし何も無い家に帰りご飯を食べて寝るだけの生活に限界が見え、今の生活圏から失踪する事を決める。
同窓会で、仕事をしてるだけの毎日である事を報告した際に、「それって楽しい?」と言われた事を思い出し激昂するこのシーンは、【このマンガがすごい!2019】の【このシーンがすごい!】にも選ばれています。
可愛いらしい絵柄とは裏腹に主人公は一度も笑顔を見せません。
「何で私はいつもこうなんだろう……思えばずっとそんな人生だったな」と悩み悔やみ哀れむ毎日。
刺さる言葉や緩やかに存在ごと消えていくような日常が多数描かれます。
貴方も「ここじゃない何処かへ行きたい」と思った事があるのでは?
“ここじゃない何処か”へ行く方法を暗中模索するマンガです。
仕事を辞め、SNSを絶ち、新しい住まい・生活を手に入れた先に何が待っているのか。
これはエンタテインメントでもエッセイでも無い作品ですが“今を嘆く誰かの未来”が描かれたマンガでもあります。
一人の人生の再スタートの成れの果てをぜひ読んでみて下さい。
星明かりグラフィクス について
好きなマンガをオススメしていきます。
7作目はこちら、
[星明かりグラフィクス]です。
芸大に通う2年生女子の二人に焦点を当てたマンガ。
才能は無いがコミュ力に全振りで「芸大は本当に才能ある人間とのコネを探す所」と豪語する園部明里と、才能はピカイチだがコミュ力0の潔癖で変人である吉持星とのデザイナーになる為コンビを組む二人の青春。
作者の山本和音さんはこの作品が初コミックスだそうです。すごい才能。
実はこの作品、3巻で完結という短さ。「もっと読みたかった」というのが本音ですが、決して打ち切られて終わったわけではないと思います。それほどまでにドラマチックな終わり方をする作品なので。
話の短さは、二人の出会った芸大で流れる青春の短さを表してるのではないでしょうか。
この作品の何がすごいか。最初は吉持のとてつもない才能・変人ぷり、才能を持った他の人物との出会いによって悔しがる吉持が中心に描かれ、明里はそれを補佐する司令官のような動き方をします。
しかし物語が進み、吉持が自分に無いものを得ようと悪戦苦闘しながらも“二人の為に”努力し吸収し成長する様を見て、
明里は焦ります。
果たして私はこの才能の塊に置いていかれないだろうか
吉持に離れられたら私には何が残るのか
才能の無い私に
そして、吉持の為だという建前で吉持の周りの人間を引き剥がそうと画策します。
この作品は、“才能と人脈”をキーワードにずっと描かれ続けます。
才能の為のワガママ
人脈の為のエゴ
二人はコンビ以上の友達に、唯一無二の存在に“なってしまいます”。
そうなってしまったら“利益の為に割り切る仕事上のパートナー”には戻れません。
青春の綺麗な部分だけじゃない、打算も焦燥も諦め
もモブも見放しも憎しみもドロッドロの部分も詰め込んだ短い青春をぜひとも読んでみて下さい。
[星明かりグラフィクス]は刺さる表現だけでなくセリフ回しも面白く、きっと気に入ってもらえると思います。
サイケまたしても について
好きなマンガをオススメしていきます。
6作目はこちら、
[サイケまたしても]です。先日全15巻の連載を完結なされた所ですね。
作者・福地翼先生といえば、[うえきの法則]や[アナグルモール]でも顕著である、“およそ戦いに向いてなさそうな能力での異能力バトル”が特徴的な方です。
あらすじは、
主人公・葛代斎下(サイケ)は幼なじみの交通事故死をきっかけに、自分に“一日をやり直す”特殊能力がある事に気付く。サイケは後に“オラクル”と呼ばれるその特殊能力を使い人々の役に立つヒーロー活動を密かに繰り返す。
しかし、能力を持つ“オラクルホルダー”達との出会いにより、戦いの日々、そして能力者達を取り巻く大きな運命に巻き込まれていくーー
と言った感じです。
サイケは“一日をやり直す”能力を得てから様々な人を助ける為にその日を逆行し、不幸な出来事を何百回と未然に防いでいきます。
しかし、その能力を発動する為には条件があります。
それは、特定の池で『溺れ死ぬ』事です。
自らの命を投げ打ち他人の為に尽くすサイケ。狂気とも言える使命感に彼は突き動かされ、溺れ死ぬ為に身を投げます。
その使命感の根底には、“何者にもなれていない自分”への恐怖が常にあり、能力を失いヒーローじゃなくなる事を何よりも恐れています。
そんな彼の弱さ怖さ、実際人を救っている結果や人望に惹かれ仲間も増えていきます。
“タイムリープもの”“異能力もの”に必ずつきものな難題があると僕は考えています。
それは、
『過去を変える事は果たして幸せなのか?』
そして、
『能力者と非能力者は共存出来るのか?』
この必ずつきものであるテーマに対し、[サイケまたしても]は真摯に向き合い作品内で明確に答えを出します。それは数ある意見のうちの一つの答えですが、僕はこの作者さんが真剣にその問いに向き合い続けたから出た答えなんだなと感じました。
また、冒頭紹介したように福地翼先生の作風は“バトルに向いてなさそうな能力でのバトル”が味となっています。
一日をやり直す能力者であるサイケは身体能力も並以下ですが、何度も“コンティニュー”する事で相手の動きを先読みし、トライアル&エラーを繰り返し策を練り強大な能力者達に向かっていきます。
“相手の心を読む”のとはまた違う、他のマンガには無い独特なバトルだと思います。
また他の能力者ですが、
ガムテープを好きな所につけれる能力
物体を発泡スチロールにする能力
プロペラをつける能力
など、大爆発ドーンみたいな強すぎる能力が出てこず“異能力もの”の隙間を縫ったような能力者達がたくさん出てきます。凄くない能力で熱いバトルを描けるのが凄い。
過去作[うえきの法則]では『"手拭い"を"鉄"に変える能力』を持ったキャラがめっちゃ強かったりします。
[うえきの法則]も大好きな作品なのでまた違う記事で紹介します。
可愛らしい絵柄で描かれる、答えの無い問題に向き合い続けたタイムリープ能力バトル。
ぜひ読んでみて下さい。
月曜日の友達 について
好きなマンガをどんどんオススメしていきます。
5作目はこちら、
[月曜日の友達]です。
【このマンガがすごい!2018】のオトコ編第4位にも選ばれたこのマンガ。
ちなみに作者・阿部共実さんの著書[ちーちゃんはちょっと足りない]は【このマンガがすごい!2015】のオンナ編第1位に選ばれてます。[ちーちゃん]についてはまた別記事で。
学校に所属してる事、大人になる事に違和感と不自由を感じる中学生の女の子・水谷と、無口で不思議な同級生の男の子・月野が出会うガールミーツボーイな物語。
「毎週月曜日に俺の超能力の訓練を手伝ってくれ。約束だよ。」
夜の校庭に忍び込んで超能力の訓練をしている月野を見つけ、話しかけてしまったが故に、水谷は灰色だった世界に唯一の色がつく景色を見つけます。
阿部共実先生の作品に共通する魅力の一つが、詩的な文表現です。羅列される情報、無機質な語群が寂しげな世界でのモノローグに情緒を産み出しています。
灰色の校舎でのモノローグなど、「周りにどれだけ人がいても、私のこの感覚を理解出来る人は一人もいないのだろう」という気持ちの表現が上手い作家さんです。
また、作画に関しても光や水面を描くのがとても上手い方で、夜の校舎と音の無い水谷の世界に射す月野の煌めきを丁寧に描き込んでいます。
嫌いだった月曜日が、たった一つの約束で待ち遠しくなる。
これは恋愛の話でもなく、友情と呼ぶにも短い話かもしれません。
これから先二人は大人になり、仕事を得て、結婚もし、家庭を築き、別々の道を別々の地で歩んでいきます。
この月曜日の思い出も記憶と共に薄れていくのでしょう。どれだけ忘れないと誓っても、忘れたくないと想っても。
「月野だけは大人にならないでくれ」
ようやく見つけたのに"子供"である私を置き去りにしないでくれ。この永遠から抜け出さないでくれ。水谷の悲痛にこぼれ落ちた言葉は、十代の同じ気持ちを持つ子供達、そして大人にならざるを得なかった人達に刺さると思います。
[月曜日の友達]は、誰かの宝物になるような、オルゴールにでも大切に閉じ込めておきたい物語です。
そして、amazarashiというバンドが歌う[月曜日]という曲は、このマンガを読んだボーカルの秋田ひろむさんがこのマンガの為だけに書きあげた、水谷と月野の世界を閉じ込めた楽曲になっております。
ぜひ[月曜日]も聴きながら、[月曜日の友達]を読んでみて下さい。
くにはちぶ について
完結したものだけじゃなく、連載中の気になってるマンガも書いていきます。
4作目はこちら、
[くにはちぶ]です。
村八分(制裁を加える為特定の人物の交際を共同で絶縁する)という言葉がありますが、このマンガはそれが法律として施行されます。
明るく友達も多い中学2年生の少女・道端たんぽぽ は、ある日突然、近年出来た法律"無作為選出対象者無視法"通称・国八分法の対象者になります。
それは対象者を1年間、日本国民全員が無視するという法律です。
何故こんな法律が施行されたのか?それは、いじめがはびこる世の中で、いじめ被害者の気持ちを誰もが平等に味わうことでいじめによる自殺をなくす為なのです。
いわば、たった一人を使った日本国民全員の命の授業。
クラスメイト達も道端たんぽぽが対象者に選ばれた瞬間、ある種冗談のような空気を呑み込めずに笑ってしまいます。「法律?無視?今まで友達だったのに?w
」しかし、
これはいじめじゃない、法律なのです。
対象者に話しかけたりした違反者は未成年であろうと逮捕されます。この法律が施行されるのは“対象者以外”の全ての国民なのです。
クラスメイトが逮捕されていく事実に、ようやく周りも友情より法律を守るようになります。
そして家族ですらも。
母親が夕食を作ってあげても違反です。監視員の目と、どこから見てるかわからない監視カメラが見逃しません。
それでも我が子を守りたい母親と、1年後対象者から外れた我が子の帰る場所を守って待っていてあげたい父親、どちらも我が子を想う気持ちは同じなのに家庭もどんどん憔悴していきます。
このマンガの恐ろしい所は、僕はこの法律を有り得ると思ってしまいました。
僕は政治について詳しくありませんが、大人の薄っぺらくても正当な筋が通ってしまえば、住む国民はその主張が歪んでいても従うしかないのです。
もちろん対象者が犯罪を犯す事は普通にダメです。なので無視されるからといって強盗無双などは出来ません。
逃れる方法は対象者から外れるまでの期間海外に行くくらいですが、中学生が、誰の助けも借りれず、一人で?実行出来ると思えないし、何よりこの状況でそこまでして生きたいと思えるか。
ドロッとした絵柄で描かれる、新法律サスペンスの中でも秀逸なこの作品。ぜひとも皆さんも読んでみて下さい。